ROCKの復活と再生を記念すると同時に、お店を支えてくれる多くの人たちへの感謝を伝える日である「ROCK Re:birthday」が、今年も行われました。
2回目となる今年は「69LIVE!」をテーマに6月8日、9日の2日間にわたって開催。今年もたくさんの人に来ていただきました。
まるごとローストしたチキンがドカン! 今年もフードは特別メニューが登場
2016年に起こった火災によって店舗が全焼したROCKは、多くの人のご支援をいただくことで2017年6月に復活、グランドオープンを迎えることができました。2017年から始まった「ROCK Re:birthday」はその復活に対する感謝を伝えるためのイベントで、「69(ROCK)の日」である6月9日に合わせて行われています。
この日は通常営業ではなく、屋台のような形でフードが提供されています。今年もROCKの店舗前にブースが設置され、普段は調理場で働いているキッチンスタッフが目の前で調理し、お客さんと交流しました。
提供されるメニューも普段とは違う特別なものがたくさん! ROCKの定番であるカレーなどはもちろんありますが、焼き肉、ステーキ、モツ煮など、いろんなメニューが用意されました。
今年の夏メニューとして9月1日から登場する岩魚の塩焼きや、自家製コンビーフのホットサンドなども一足先に登場していましたよ。
この日のメニューはどれも気合いの入ったものですが、なかでも菊さんこと菊原シェフのイチオシだったのがローストチキン。ライスにまるごとローストした鶏を豪快に半分乗せたボリュームたっぷりの一品です。
2日間で200羽、400食分用意していたのですが、2日目の夕方を前に完売となってしまいました。
八ヶ岳のブルワリーがいろんな形で集まった2日間
ROCKといったら忘れてはいけないのがビール。店内に併設されている八ヶ岳ブルワリーでつくられるビール「タッチダウン」はロックのシンボルのひとつです。
「ROCK Re:birthday」でももちろんビールは登場。店内に加え、店頭ブースでも販売されました。
事前に発表していたとおり、定番に加えてこの日のためにつくられた限定ビールも。ROCKと同じ山梨県北杜市でホップを育てているホップ農家の小林さんとのコラボで生まれた「HOKUTO」、やはり北杜市でビールづくりをしているブルワー・うちゅうブルーイングさんとのコラボで生まれた「スペースピルスナー」の2種類がお披露目されました。
「HOKUTO」は北杜市産ホップ100%使用したおそらく世界初のビール。国内では現在ホップ栽培もあまり盛んではないため、日本産ホップ100%というのも珍しいものなんです。
ROCK MAGAZINEでも紹介した「スペースピルスナー」は、伝統的なジャーマンスタイルの八ヶ岳ブルワリーと華やかなアメリカンスタイルのうちゅうブルーイングさんがコラボした一杯。華やかな香りを付ける「ドライホッピング」という手法を、ドイツの上品なホップで行う世界的にも新しいスタイルのビールにチャレンジしました。
今年は2日目があいにくの天気で肌寒い1日となってしまいましたが、天気のいい1日目は特に多くの人が手に取って試していました。
また、今年はすぐ近くの長野県茅野市に誕生した新しいブルワリー・8 Peaks BREWINGさんも出張出店!
このブルワリーを立ち上げた齋藤由馬さんは実家が花農家なのですが、「見るだけでなく、役に立つ花を育てたい」という思いからホップ栽培に行き着き、かつてはホップの一大生産地であった八ヶ岳の麓に移住してきた方なんです。そして、自分自身でビールづくりまで手がけています。
コラボや出張出店という形で、八ヶ岳エリアのいろんなビールが集まる日になりました。
お客さんもスタッフも身体に「69」のマーク!
フードやビール以外にも店舗前にはいろんなブースが並びました。山梨県甲府市の人気コーヒー店・AKITO COFFEEさんや、山梨県韮崎市にある中高生の拠点スペース・MIACISの特設ブース、デザイングループ・BEEKの土屋誠さんの書店など、店舗の前にバラエティ豊かなブースが並びました。
イベントを楽しくするスポットも。ROCKのスタッフでもある“秋帆さん”こと高野尾秋帆がダブルワークで行っているNail Salon ChouChouも出店していました。ネイルは時間がかかってしまうので、この日は身体に貼れるシールを提供しており、スタッフもお客さんもいろんなところに「69」「ROCK」の文字の“ボディペイント”を行いました。
昨年もつくられたRe:birthdayのオリジナルTシャツの販売も。デザインを担当した新入社員の小平壮野自ら店頭に立ち、販売を行っていましたよ。
また、この日は萌木の村の広場で「萌木の村ナチュラルガーデンフェア」が開催されていました。こちらでは花苗などを農家さんなどが直接販売を行っていたほか、萌木の村の庭をつくっているポール・スミザーさんの講演や、ステージイベントなどが行われていました。
ナチュラルガーデンフェアに遊びに来て、「ROCK Re:birthday」で食事や休憩をしていく方もたくさんいらっしゃいました。
若手世代のブルワーによるトークセッションも
会場ではセミナーなどのプログラムも開催されました。八ヶ岳ブルワリーでは、昨年に引き続きブルワリー見学を実施。普段は入ることのできないブルワリーのなかを、ヘッドブルワーの松岡風人が案内しました。
今年はさらに1日目、2日目両日、ゲストを迎えてのトークイベントも。8 Peaks BREWINGの齋藤さんやうちゅうブルーイングの“隊長”こと楠瀬正紘さん、ホップ農家の小林さん親子らが登壇し、ビールづくりについて、この地域でビールをつくることの意味、これからのことなどを話しました。
また、ROCKのお隣にあるホテル ハット・ウォールデンのBar Perchではウイスキーセミナーが。バーテンダーの久保田勇がカクテルづくりや、ウイスキーの醸造プロセスなどについてセミナーを行いました。
夜には久保田勇、萌木の村の創業者・舩木上次が秘蔵ウイスキーを紹介するツアーも行われました。
舩木上次のウイスキーツアーでは、普段はまず入ることができない萌木の村内の蔵へ。3年かけて掘ったというトンネルのような蔵へ入るのは、秘密基地に入るようなワクワク感のある体験でした。
今年もやりました! 6時9分にみんなで乾杯!
そして、日が落ち始めるころには「ROCK Re:birthday」のシンボルともいえる乾杯イベントが行われました。「6月9日の午後6時9分に690人で乾杯しよう!」という目標を掲げて行われている、ROCK史上最大の乾杯イベントです。今年は6月8日にも6時8分に乾杯が行われました。
乾杯用の特別なチケットが販売され、「HOKUTO」「スペースピルスナー」の2つのボトルやソフトドリンクを手にした多くの方で店内はぎっしり。ROCKの総支配人であり萌木の村の取締役である三上浩太らがステージに立ち、今年も大きな乾杯の声が響きました。
突然のセッションも生まれたライブステージ
この2日間を盛り上げたのはライブ。音楽はROCKにとって重要な要素であり、「ROCK Re:birthday」では欠かせない存在です。
「69LIVE!」をテーマにした今年の「ROCK Re:birthday」では、昨年以上にたくさんのアーティストがROCKでライブ、パフォーマンスを行いました。
メインステージとなったROCK店内は2日間ほぼずっと音楽が鳴り響き続ける空間に。火災後の新店舗づくりにあたってのこだわりポイントのひとつでもあった音響が存分に活躍しました。
とはいえ、基本的にはレストランであるROCKにつくられるステージは決して大きいとはいえません。音響ももっとよいところを探せば当然たくさんあるでしょう。しかし、印象的だったのは登場したアーティストさんがしばしば「今日は、ここは、最高のステージ」と口にしていたことでした。
とりわけ夜の時間は会場の一体感が増していく時間。昨年に引き続き登場し、2日ともステージに登った「ファンキー最高責任者」佐藤タイジさんは「今日俺、すごいいい演奏してると思うんだよ」「だから、俺のギターを聞け!」と声を上げ、会場を沸かせていました。
ステージとしては決して大きくないからこそ、ステージと客席の距離も圧倒的に近いのがROCKのライブ。特に乾杯後はアーティストの目の前で盛り上がる人も多く、まさにフロア全体がひとつのステージのような状態になりました。
その盛り上がりを受けるように、2日とも最後は予定になかったライブも行われました。佐藤タイジさんや小山田壮平さん、Keison(ケイソン)さんにLeyonaさん、ASSKICKさんらが、プログラム外のコラボでステージを盛り上げるなかで今年の「ROCK Re:birthday」は幕を閉じていきました。
復活への感謝と、新たな再生への原動力を貰った2日間
「ROCK Re:birthday」はROCKが感謝を伝える日であり、できる限りの恩返しをしたいという思いから行われているイベントです。ですが毎年イベントを通じて感じるのは、実は恩返しするつもりがROCKの方が「貰っている」のではないか、ということです。
「ROCK Re:birthday」はふしぎなイベントです。スタッフはもちろんスタッフとして準備をしたり、仕事をしたりしています。でも、その一方でスタッフ自身もライブを楽しんだり、お祭りのような雰囲気を満喫しています。そうやって参加するように働いていることも楽しさなのですが、それ以上にスタッフだからこそ味わえる嬉しさ、楽しさがあります。
それはこのお店のファンと出会えること。「Re:birthday」を終えたスタッフに印象的だったことを聞いていくと、「去年のRe:birthdayのTシャツを着て来てくれた人がいた」「遠くから来てくれた人に声をかけられた」「常連さんにまた会えた」といった声がいろんなスタッフから出てきました。
もちろん普段の営業でも「ROCKが好き」と言ってくださるお客さんに声をかけてもらえることはあります。喜んだり楽しんだりしてくださる顔を見ることもあります。ですが、この日は特にそういうお店を愛してくれる方がたくさん足を運んでくれるんです。そして、フェスのような雰囲気から、たくさんの人が声をかけてくださいます。
「Re:birthday」を終えて燃え尽きた表情のスタッフもいれば、「ROCK、清里はこんなもんじゃないし、もっと面白くなるはず!」と話すスタッフもいました。ですが、共通しているのは「スタッフ自身もこの2日間を楽しんだ」という表情でした。
ROCK総支配人である三上浩太はステージで「何かを起こすことって大事だなと思った」と話しました。イベントでも何でも、何かを始めることで新しい関係が生まれる、と。それはROCKというお店、スタッフにとっても同じです。この2日間の経験や、そこで得たものは一人ひとりにとって新しい何かの種になっているのだと思います。
「Re:birthday」は、火災からの復活を祝う感謝の日であり、同時にさらにROCKが新たな形に生まれ変わるきっかけになるイベントなのかもしれない。そんなことを感じた2日間でした。
多くの人のご来場、今年も本当にありがとうございました。