ROCKは部活! 「楽しい」だけで10年続いてます
——ママさんスタッフ・立岩優子インタビュー

いろんなスタッフが働くROCKには、ベテランスタッフも数多く存在します。そんなひとりが立岩優子。今年でちょうどROCK歴10年を迎える彼女は、ホールの元気印として親しまれています。

彼女の10年はちょうど3人のお子さんを育てる10年でもありました。家族でお客さんとして食べに来るだけでなく、実はかつては息子さんを連れて働きに来たり、今年には大きくなった娘さんといっしょに働いたりもしています。

家族ぐるみで付き合うように働いている彼女に、改めて話を聞いてみました。

実は最初は怖かった?

——立岩さんはROCKでもかなりベテランのスタッフなんですよね。

立岩優子

今年で10年目です。子どもが3人いるんですけど、働き始めたのは下の子がちょうど保育園に入るときですね。中学校からの同級生が当時ROCKで働いていて、「働かない?」って軽いノリで誘われたのがきっかけです。私は生まれも育ちもずっと清里なので、もちろんお店自体は知っていたし、好きだったので、「じゃあ働こうかな」って。

——それまでも接客はやっていたんですか?

子どもが生まれる前に就職して働いていたのは信用組合だったんですけど、アルバイトではずっとレストランなんかで働いていました。高校時代もそうだし、中学時代もお手伝いみたいな感じでやっていたので、接客自体は長くいろいろやっていましたね。

——最初にROCKに入ったときはどんな印象でしたか?

正直にいうと、最初はすごく怖かったんです。今と違ってあんまり仕事も教えてもらえなくて、「見て覚えるしかないのかな」って感じで。当時(このインタビューでも登場した)秋帆ちゃんとその友だちが働いていて、その2人はすごく優しく教えてくれたので、わからないことがあったら彼女たちに聞いていました。でも、「私、ここで続けられるのかな」って感じでしたね。

——それはなんだか意外ですね。

ただ、それは本当に最初だけでしたね。最初は怖いと思っていた人も、慣れてくると実は怖い人じゃなかったりして。1か月もするころには打ち解けてて、慣れたら逆に楽しくて楽しくて(笑)。

——それで結果的にすごく長く働くことになったわけですね(笑)。

もともと「人が好き」ってタイプなので、接客自体嫌いじゃないんです。しかも、ROCKの場合はお客さんにも「ROCKが大好き!」って言ってくれる方が多い。だから、より楽しいんですよね。お店自体も広いのも自分に合ってるんだと思います。なんか、お店が広いと気持ちも広くなりません?(笑) じっとしてられないタイプなんですよね。だから、忙しく動き回っていられるのが合ってる。私は普段からテンションが高い方なんですけど、お店にも活気があるからちょうどいいというか……。周りのスタッフには「立岩さん、テンション高っ!」って思われてそうですけど(笑)。とにかく「楽しい」ってだけで10年続けている感じです。

10年間、学校行事はひとつも休まず!

——「楽しい」だけで10年っていうのはすごいですね(笑)。飲食ってスタッフの入れ替わりが激しい業種でもあるじゃないですか。

もちろんROCKも入れ替わりはあります。でも、一度離れても戻ってきてくれる人もいたり、長くやっている人が多いんですよね。それと、私の場合は「ママさんに優しい」っていうのが大きかったです。ROCKって子育てしているママさんも多いんですよ。

——今もけっこういますよね、子育て中の世代のスタッフさん。

うちの息子の同級生のママさんも以前働いてたりしました。いろんなところで育休とか産休が当たり前になってきているけど、ここは格別だと思います。すごく優しいし、働きやすい。運動会とか授業参観とか、学校行事っていろいろあるじゃないですか。しかも、うちは子どもが3人いて、小学校、中学校、高校とそれぞれ別の学校に行っている時期もあった。そうすると学校行事の回数も増えるんです。でも、そういうときにもスッとシフト変えてもらえる。そもそも休む理由も特に聞かれないんですけど。おかげさまで、学校の行事はひとつも欠かさずに行けてます。

——それはすごいですね!

それと、小さいころは急に対応しなきゃいけないことも多いじゃないですか。「熱を出したから保育園に迎えに来てください」とか。そういうときもすぐに「いいよ」って言ってくれる。もちろん電話を受けた瞬間にってわけではないですけど、30分くらいの間には送り出してくれる。「大変だね。いいよいいよ」って感じだし、「今日病気で呼ばれたってことは明日も無理かな?」ってくらいに考えてくれちゃう。だから、私にとってはすごく働きやすい環境でした。

子どもを連れて働きに来たり、親子でいっしょに働いたり

——「働きやすい」というのはこのスタッフインタビューでも本当によく出てくる話題ですね。

下の子が小さいころなんかはお店に連れてきたりもしてましたよ(笑)。今は中学生なので留守番しててもらったりもできるんですけど、小さいころはそうもいかないじゃないですか。だから、土日なんかはお店に連れてきてたり。そうすると(スタッフの舩木)良さんが萌木の村のいろんなところに連れ回してくれて、芝刈りしたりとか。本当にかわいがってくれましたね。最近はもうないですが、大きくなって今度はバイトしに来たりもしてます。娘が高校卒業するころにROCKでバイトをしたりして。

——え、じゃあいっしょに働いたんですか?

はい。69の日のイベントなんかもいっしょに働いてました。なんだかちょっと照れくさい感じはしましたね。ホールで「ママ」って呼ばれちゃいけないから「ねえねえ」なんて呼んでたり(笑)。でも、楽しかったです。

——でも、お子さんが働こうって思うのって、やっぱりお母さんが楽しそうに働いているからでしょうね。楽しくなさそうだったら働きたいと思わないですもん。

たぶん楽しく働いてるっていうのを家族もわかってると思います。だから、家族もROCKに来るのが大好きです。お客さんとして食事にも来ますよ。メニューが変わるときって試食ももちろんあるんですけど、やっぱりちゃんと食べに来たいから、季節メニューが始まると何度も来ます。

——働いているお店って何となく行きたがらない人も多いですよね。

そうなんですよね。でも、働いているお店に行くのってすごくいいことだと思うんです。料理もおいしいし、楽しいから自分でも行きたくなるし、そういうお店だから友だちにも「来て!」って素直に言える。

いい意味で縛りがない、文化祭のような店

——「楽しい」というのがすごく大きな要素になっていますけど、ROCKの楽しさってどんなところなんでしょう?

なんでしょうね。忙しくやっているときはスポーツというか、「部活!」って感じです(笑)。あと、イベントも多いじゃないですか。ライブだったり、この冬もあるカレーバイキングだったり。特に昔はよくも悪くも身内的なイベントも多くて、ROCKのスタッフがやっているバンドがライブをやったり、私もピアノで出させてもらったりしてました。そういうのも楽しかったですね。今は昔以上にどんどん企画が出てきてるから「すごいなー!」って思いながらやってます。装飾なんかも季節ごとにいろいろやりますしね。

——「部活」っていう表現が出ましたけど、そういうイベントの楽しさなんかも含めて「文化祭」っぽいですよね、ROCKって。

あ、そうですね! そういうことがすごく自由にできる。自由っていうのは、勝手気ままにやるってことじゃなくて、いい意味で縛りがないってことなんです。

——それはこの冬のカレーバイキングなんかでも感じるところです。定番のカレーがあって、ジャーマンスタイルのビールがあってというお店で、アジアンのカレーを出そうって、普通なかなかやらないと思うんです。

そうそう。それって、そういうカレーをつくれるスタッフがいるからできるんですけど、「ROCKってこういうお店だから、こうじゃないといけない」みたいな縛りがない。「楽しくやろう!」「盛り上げるためにこんなことをやろう!」っていう感じでいろんなことができちゃう。もちろん縛りがないことで反省することもあるんですけど、そういうフリーダムさがROCKの魅力なんだと思います。お客さんもそういうところを楽しんでくれている方が多いのかなと思います。

長く働いているからこその楽しさ

——そういうお客さんの存在もROCKの面白さの一部ですよね。

特に長くやっているとそれは感じます。ふしぎなつながりが増えていくんです。私がずっと地元にいるからというのもあるんでしょうけど、たとえば普通に犬の散歩をしているときにたまたま知り合った人が今ではROCKの常連さんになっていたり。あと、わざわざ私に電話してきて「今日いる?」って会いに来てくれたり、お土産に崎陽軒のシウマイ持ってきてくれたり(笑)。そうやって自分を訪ねてお客さんが来てくれることがあるのは、本当に嬉しいです。それは長く働いているからこその楽しさだなと思いますね。

——楽しいことが本当にたくさんありますね。

そうですね。今でも楽しいことがどんどん出てくるのですけど、まだやりたかったりできるんじゃないかってこともあります。私が考えるなら……ワンマンでディナーショーとか? スタッフそれぞれが1日ごとに1人お気に入りのアーティストを呼んで毎日ディナーショーやったりとか、できないかなーって。それと、萌木の村にはオルゴール博物館みたいな面白い施設もあるじゃないですか。ああいうところともっと連携できたらいいなと思うんです。

——意外と行ったことないとか、知らないって人も多いですよね。

確かに知らないと「オルゴールの博物館? お金払って何を見るの?」って思っちゃいますよね。でも、私も行ってみて本当にビックリしたんです。1日いられますよ。すごく貴重なオルゴールがたくさんあるし、演奏家さんの演奏も聴ける。だから、ROCKでも実際にオルゴールをかけたりする機会があるといいんじゃないかなって。

——オルゴールは実際に聴くと印象がガラッと変わりますよね。ROCKでもいろいろできそうです。楽しいことはまだまだできそうですね(笑)。

いけるところまでROCKで働こうと。最後は燃え尽きちゃいそうですね(笑)。

前の投稿
「パンを通じてコミュニケーションの場を…
戻る
次の投稿
「カレーをつくるときはハーブを買いに東…

ROCK MAGAZINE ROCK MAGAZINE