「今いる場所で咲かないのってもったいないじゃない」
五味五感企画・五味愛美さん×萌木の村・西鍋早葵

萌木の村で働く西鍋早葵。入社2年目の彼女は、萌木の村のイベントなどさまざまなことに関わるポジションで活躍しています。

そんな彼女が今回話を聞くのは、五味五感企画の五味愛美さん。キープ協会で働いた後に独立し、現在は自身で体験型婚活イベントなどを企画するほか、八ヶ岳エリアのさまざまなイベントに関わっている、地域の顔ともいえる存在です。

まさに自分の目標像ともいえる存在である愛美さんに、これからの自分のヒントを求めて西鍋が話を聞きました。

母になる女性たちに社会課題を意識してもらいたい

五味 西鍋さんに初めて会ったのっていつだっけ? たぶん何かの集まりとかイベントだったと思うんだけど。当時もうSNSも盛んだったから、そこでも見てたんですよね。大学生でこんなことやってる子がいるんだって。西鍋さん、有名だったから。

西鍋 そんなそんな(笑)。

五味 何て団体で活動してたんだっけ?

西鍋 CreateFuture山梨って団体ですね。社会問題とか最近のニュースを学生たちで気軽に話そうって活動をやっていました。メディアにも出る機会が多かったのでそこで知ってくださった方もいるようです。北杜市を盛り上げたいって気持ちもあったので、地元関係のイベントなんかにも参加していました。愛美さんともそういう中で出会ったんですけど、当時から「北杜市を盛り上げる女性の代表!」ってイメージがありました。

五味愛美さん。

五味 なんでだろうね? 自分でもどうしてそんなふうに言われるようになったのかわかんない(笑)。

西鍋 出身は八ヶ岳エリアじゃないんですよね?

五味 そう。中学までは栃木県の宇都宮で、高校が静岡、大学で神戸女学院大学ってところに行って……神戸女学院ってね、すごいお嬢様学校なの。正門にポルシェとかベンツとかがお迎えにくるような(笑)。学生も日傘を差して歩いてるようなお嬢様がたくさんいてね。

西鍋 へー! どうしてそこに?

五味 そのとき、国立大学と東京方面の有名女子大学、神戸女学院大学って3つ受かってて、どこに行こうかって考えたの。私が中学生、高校生くらいのころって環境問題が社会問題化して盛り上がってる時期で、自然に関することっていうのに興味があったから、国立大学は農学部を受けてたのね。でも、その農学部に受験に行ったら、真冬だから寒いでしょ? それで学生さんも割と素朴な感じで、農場の匂いが漂ってて、高校生からすると「思ってた大学生活を違う!」って思っちゃって(笑)。それで国立大学はやめちゃったの。で、もう一つの女子大学は東京でね。 東京ってあんまり魅力を感じなかったんだよね。自分が埋もれちゃう感じがして。

西鍋 それちょっとわかります。私も就職活動のときに東京の企業なんかも受けていたんですけど、そこにいると自分が「何百人のうちのひとり」になっちゃう感じがして。大学のときは西鍋早葵として活動して、いい評価も悪い評価もあると思うんですけど、それなりに私という存在が認められていたのが、何百人のうちのひとりになっちゃうのは……

五味 そうそう、何かつまんないよね(笑)。

西鍋 それで地元で就職したんです。

五味 それで私も神戸に行ったの。両親の「神戸女学院がいい」って想いもあったと思うけど。結果的にそれがすごくよかったの。大学のときにね、壁とかのインテリアデザインをやるのが好きで、自然の葉っぱとかを使って額に飾ったりタペストリーみたいにしてたんだけど、それを見た同級生が「これ、かわいいやん。どこで買ったん?」って聞いてきて。「いや、つくったんだよ。葉っぱを集めてきて」なんて話をしたら「私もつくりた〜い!」って言って、実際にみんなでつくったりしたの。そのときに思ったんだよね。「この子たちはすごいお嬢様で、この先きっといいところにお嫁に行くだろう。そうしたら、彼女たちが自然に興味を持っていたらその夫にも伝わるし、夫を通してその会社にも影響を及ぼすだろう」って。それで女性、母親になるであろう女性に環境教育をしたいなって思って、いろんな企業を調べ始めたの。

西鍋 それでキープ協会に?

五味 そう。キープ協会って日本では環境教育の老舗なの。だから、縁もゆかりもなかったけど、「やるならここでしょ!」って(笑)。環境教育、女性ってキーワードに出会えたのは、神戸女学院ってところだったからなの。

「置かれた場所で咲きなさい」

西鍋 実際キープ協会で働いてみてどうでしたか? 希望する職種で働けたんですか?

西鍋早葵。

五味 それがね、希望職種じゃなかったの〜(笑) でもね、それもすっごくよかったの。当時環境教育ってすごくメジャーなキーワードで人気もあったから、就職試験のときから言われてたの。「環境教育事業部は人気だし、しばらく席も空いてないんだよね」って。でも、「それでもいいです!」って言って入ったの。「同じ団体の中にいれば環境教育事業部の仕事のやり方とか情報も入ってくるので、どんな部署でもかまいません!」って。それで配属されたのが企画部だったんだけど、そこがすごくいい場所でね。企画部ってあらゆるイベント企画の担当部署だったの。だから、秋のカンティフェアみたいに何万人も人が集まるイベントから、地域のコンサートみたいなものまで全部関われたし、その関係で商工会から役所、県庁に企業まで、いろんなところに顔を出したし、地域の重鎮と呼ばれる人と知り合うことができた。(萌木の村創業者の舩木)上次さんともそのとき知り合ったの。

西鍋 人とのつながりが広がっていったんですね。

五味 そういうなかで地域の想いみたいなものも知ることができたし、視野が狭くならなかったのもこの3年間のおかげだと思う。会社に入るとどうしても「会社のため!」って考えになりがちでしょ? でも、地域のいろんな人に出会って、話を聞いていったことで「地域のため」「八ヶ岳のため」っていう広い視野を持つことができた。企画部にいた3年間はすごくいい時間だったし、あのとき「環境教育をやりたいのになんでこんなことしてるんだろ」みたいに腐らなくて本当によかったと思う。

西鍋 その話は今の自分と重なる部分を感じます。私も萌木の村のあらゆることに関わるポジションなんです。だから、最初はいろんなことに関われるし、知っていこうって思っていたし、今も面白さや楽しさはあるんですけど、同時に2年目になって「このままでいいのかな」って感じることも多くなってきて。様々な事業に関われるけど、自分が「何でも屋さん」になっちゃうのはどうなんだろうと不安もあるんです。「自分はこれ!」っていうものがないなって。

五味 何でも屋さんでいいと思うよ。「何でもやります!」っていろんなものに触れるのがいいと思う。私ね、渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』って本がすごく好きで。まさにその通りだと思ってるの。置かれた場所で咲かないのってもったいないなって。大学時代にもそういう同級生がいたの。神戸女学院大学って、伝統や品格のある大学なんだけど、偏差値自体がすごく高いわけではないから滑り止めとして受ける子もいるのね。で、「私は医学部に落ちたからここに来てるけど、来年また医学部を受けてそっちに行くからここではお友だちはつくらない!」って言ってる同級生がいて、結局それでいてバイトしたりして過ごして、ほかの大学に行くこともなく卒業していった。就職のときも親御さんがすごくいいところを紹介してくれたんだけど「私がやりたいのはそういうことじゃない!」ってそれも蹴っちゃって。今は交流もなくなっちゃってるんだけど、すごくもったいないなって思ってたの。自分の希望と違っていても、そこで最善を尽くすことで次につながることってすっごくたくさんある。

置かれた場所で自分のテーマを見つけていった人生

五味 でもね、自分のやりたいことは言っておいた方がいいよ。私も企画部にいたんだけど、「環境事業部に行きた〜い! 環境事業部に行きた〜い!」ってずっと言ってたから。だって行きたかったんだもん(笑)。もちろん言われていたとおり環境教育事業部に空きはなかったんだけど、企画部時代に社内報を担当しててね。私が引き継いだときはワープロでつくった文章だけみたいなものだったんだけど、それじゃつまんないからって取材に行ったり、写真を入れたりいろいろやっていたの。そうしたら、それを環境教育事業部の当時の川嶋直部長も見てくれて、「こういうことをやってる子なら、環境教育事業部のシンポジウムの報告書なんかもやってもらえないかな」って声をかけてくれた。それで、企画部にいながら環境教育事業部の仕事にも関われたの。「やったー! 念願の環境教育事業部の仕事だー!」ってすごい嬉しかった。で、その後ちょうど結婚退職される方なんかも出て、環境教育事業部に異動することができた。精一杯やってると誰かが見てくれるんだよね。だからね、西鍋さんも今いる場所で精一杯やるのと同時に、やりたいことを言っておいた方がいいよ。「これをやりたいです!」って話って基本的には「はいはい」って感じで聞いてるんだけど、どこかで頭の隅に残ってて、何か機会があったときに「そういえばずっとやりたいって言ってたな」って思ってもらえるから。西鍋さんは今何をやりたい?

西鍋 ひとつは萌木の村の情報発信をもっとしっかりやっていきたいなって思っているんです。SNSとかWebでの情報発信って売り上げにもすごく影響するし、萌木の村のブランド価値を高めるための情報発信がしたいと思ってるんですけど、ちゃんとやろうと思うと片手間じゃできない。

五味 専門でやってる人たちのことなんか見てると特にね! 「もっとブラッシュアップした方がいいんじゃないか」「この写真でいいのかな」ってなるよね。

西鍋 だから、もっと力を入れていきたいんですけどね。何でも屋さんだと情報は自然に集まってくるかもしれないけど、戦略的に情報発信していくとなると、もっと集中してできる時間が欲しいなと思います。

五味 そこで「西鍋〜西鍋〜」って(笑)主張していくといいよ。

西鍋 愛美さんはキープ協会にいたあと独立して、今婚活イベントをやったり、いろんなことをやってますよね。そういうやりたいことってどういうふうに見つけていったんですか?

五味 私は最初からやりたいことがハッキリしてたわけじゃなくて、行った場所行った場所で自分のテーマが見つかっていったっていう人生なの。ただ、振り返ってみると社会課題というのがずっと基軸になってたんだなって思う。学生のころは環境問題が社会課題になっていたし、同時に女性の社会進出もひとつの議題になってもいた。大量消費時代のなかでリサイクルって言葉が言われるようになってきたり、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたりね。それが女性の環境教育ってテーマにつながった。キープ協会で念願叶って環境教育事業部に異動になったのが2000年なんだけど、そのころになるとバブルが崩壊してみんなが成果主義に傾き始めて社会全体が疲れていた。成果を出さなきゃいけないから仕事仲間も敵って感じでね。それでうつ病が社会課題になってきた。私は2005年に森林療法っていうのを始めるんだけど、それもそういう社会全体が疲れている、うつ病が増えてきているって背景があったから出てきたもの。その後独立するんだけど、そのころになると自己責任って言葉が言われるようになっていたんだけど、同時に絆やつながりってものも反動としてみんなが求めるようになっていた。社会でも人口減少、少子高齢化っていうのが大きな課題になってきていて、それで婚活イベントプロデュースっていうことを始めたの。

西鍋 仕事をしながら、社会課題と解決策みたいなことを見つけてきたんですね。

五味 そうね。今も婚活イベントを企画するなかで次の課題が見えてきてるの。男女って区分で差別するのはいけないんだけど、男性と女性は身体も違うし、たとえば子どもをつくるのにしても年齢的なリミットが違ったりする。それなのに、あまりにもお互いにお互いの身体のことを知らないことが多いでしょう? それに、昔に比べればかなり是正されてきてはいるけど、やっぱり男女の収入格差って大きいし、雇用環境も違う。体験型婚活イベントっていうのを企画していくなかで、参加者の声を聴いていくと、そういう次の課題も見えてきてるんだよね。

身体と意思だけで動ける時間をどう使うか

西鍋 私にとっても少子高齢化、人口減少っていうのは関心のひとつです。大学で観光の勉強をしてたのも、ただ好きだからやっていたというだけじゃなくて、この地域のために何かしたいっていう気持ちがあったからで。まだ明確な答えはないけど、若い人が好きなことやって活き活きと暮らしている地域にしたいなと思っています。愛美さんはこの地域がどうなっていったらいいと思いますか?

五味 うーん、どうなのかな? 地域がどうなればいいとかっていうのは私も明確な答えはないけど、地域の若者、西鍋さんみたいな人にやってもらいたいなと思うことはあるの。それはね、自分の興味の最先端を見たり経験したりしてほしいってこと。私もいろんなところに行った。森林療法はドイツが最先端だからドイツに見に行ったし、環境教育はアメリカのナショナルパークが最先端だから、そこのインタープリテーション(自然について解説する人)の研修に行ったり。地域をよくしたいって人が地域にいるのももちろん重要なんだけど、よくするためにずっとここにいなきゃいけないわけでもないと思うの。どこかに行っていろんなものを見て、それでまた戻ってくるとか、いわゆるデュアルライフだよね。だけど、いつくらいに外に出ていって、いつ戻ってくるのがいいんだろうっていうのは難しくて。

西鍋 確かに難しいですね。

五味 でしょう? 私がいたキープ協会は先端を行くような先輩も多かったから、地域にいながら学ぶことができた。でも、地方ってそういうことは少ないかもしれないじゃない? そう考えると、大学なんかを卒業して20代は東京や海外で働いて、30代くらいに地元に戻ってくるのがいいのか。でも、20代の若い人たちが地域にいることも重要かもしれない。今若いうちに起業する人も多いから、それこそ10代で起業して地域を変えていく人も大事かもしれない。そこに正解はないんだと思うけど、どうしていくのがいいんだろうっていうのは、若い人たちと討論してみたいと思ってるの。

西鍋 自分の友だちを見ていても、大学卒業後東京で就職してそこで地域の良さや課題を見つけて帰ってきてアクションを起こす人が増えてるなって印象があります。私はここに住んで地域を変えたいと思ってるけど、インプットがないからなかなかアクションが起こせない。

五味 戻ってきてアクション起こしてる人たちを見ると羨ましく感じたりするよね、きっと。

西鍋 そうなんですよ。同じような問題意識はあるんだろうけど、アプローチの仕方が違うし、アイディアもそういう人の方がたくさん持っていたりする。でも、地元に落ち着いちゃうと外に行くタイミングが難しいですよね。

五味 そうだよね。だけど、「羨ましいな」って思わないような人生を自分でつくっていかないといけないんだよね。「誰それに負けてるな」とか「東京に出てる人は情報量が全然違うな」とか思っちゃうと、引け目に感じちゃう。そうならない人生を選んでいかないと。

西鍋 そうなんですよね。だからこそ、「これからどうしよう」って悩んじゃうんです。そうはいっても、今自分にしかできない仕事もあるし。

五味 もう言っちゃうといいよ。「来年1年間休みま〜す!」とか「これくらいの時期に3か月間お休みほしいで〜す!」とか(笑)。さっきも言ったように、そういうのって何となくみんな頭の隅で意識してもらえるから。観光じゃない形でいろんなところに行ってみるといいと思う。視察ツアーとかさ。そういうチャレンジって20代しかできないから。30代くらいになってくると役職も付いてくるし、家族もできたりする。その上で「えいや!」って外に行ける人ももちろんいるけど、身体と意思だけで動けるのはこの時期だけだから。どんどん出かければいい。

「生産性のないこと」を学べるのが学生の特権

五味 あとね、このこととも関わることだけど、若い人、特に大学生に対して思ってるのはもっと“役に立たない勉強”をしてほしいなってこと。今大学生ってあんまり論文書かなくなってるっていうでしょ?

西鍋 そうですね。

五味 で、学生のうちに起業したり、ビジネスコンテストで優勝狙ったりってことを一生懸命やってる。すごくマジメだよね。だけど、私から見るとマジメだから踊らされちゃってるような気もするの。だってさ、今頑張ってビジネスコンテストの企画を考えても、それって5年後にはきっと時代遅れになってるよ? アプリ開発とかだって、そもそもスマートフォンが数年後にはどうなってるかわからない。というか、やっぱりたぶん時代遅れになってる。で、そういうことって社会人になってからいくらでもできるじゃない。起業なんて卒業してからいくらでもできる。せっかく学生の時間なんだから、哲学書を読んだり、科学の実験をしたり、そういう生産性のない、頭を使う、忍耐力と多くの時間を必要とするようなことをもっともっとすべきじゃないかなって。古い考え方なのかもしれないけど(笑)。

西鍋 や、そんなことないと思います。

五味 まあ、不安世代だもんね。就職とか将来とかにすごく不安がある。

西鍋 大学はいい会社に行くための場所って感じになってますね。

五味 だから、インターンに行っていろんな会社に顔を売っておかなきゃとか、ビジネスコンテストに出なきゃとか思っちゃうんだよね。もったいない。

西鍋 だからこそ、私は「もっと自分の好きなことを自由にやろうよ」みたいなことをこの地域から発信していきたいんですよね。八ヶ岳って移住者も多くて、いろんな人がいるじゃないですか。何でも受け入れてもらえるような土壌がある。私もいい意味でバカみたいなことをやって「この地域面白いんだな」って同世代に思ってもらえたらいいなと思います。それで、私自身が「ここに残ったことですごく楽しいんだよ」ってことを見せたい。そういうロールモデルになれたらいいなって思っています。

五味 そうだよね! それ大切! 私も地域にいて楽しい。でも、埋もれたくはないから、定期的に研修に行ったり、海外に行ったりしてるんだけど。向上心をなくして田舎どっぷりっていうのはイヤでしょ?

気合いを入れて遊びに来てもらうことが主役感をつくる

西鍋 今日は愛美さん自身についてはもちろんなんですけど、イベントについても聞いてみたくて。愛美さんはいろんなイベントに関わってますから。

五味 そうね。西鍋さんも「八ヶ岳ベーカーズ」を立ち上げたりしてるんだよね。

西鍋 そうなんです。「八ヶ岳ベーカーズ」も、もっと地域に根ざしたものにしたいなと思っていて。もともとは、まず観光で来る方をターゲットにして、そこから地域の人にももっと知ってもらえたらって考えて始めたんですが、私もせっかちなので、もっと早く地域の人にも知ってもらいたいって気持ちになってきて。

五味 難しいよね。今イベントもすごくたくさんあって、私自身も1割もこの地域のイベントを楽しめてるのかって思うもん。そもそも地元の人たちってどれくらい地元のパン屋さんに行ってるんだろうね、とも思うし。スーパーで買ってるって人が多いでしょ、きっと?

西鍋 そう思います。

五味 観光客向けと地元の人向けって両立するのって難しいよね。本当にその両方とも楽しんでるのって、花火大会とかカンティフェアくらいじゃないかな?

西鍋 ひとつイメージにあるのはベトナムで見た朝市なんです。地元の人が来てるんだけど、観光の人も買い物をしている。ベーカーズもパンに特化しているけど、そういう朝市みたいになったらいいなって。

五味 その朝市ってどんな感じなの?

西鍋 朝食を売ってるお店もあれば、鮮魚やお肉のお店もあるので、地元の人がふらっと来たりするんですよね。

五味 地元に根付いてる感があるのね。

西鍋 そうです。

五味 そういうのでいったら、勝沼の朝市に行ってみるといいよ。あそこはいいよ〜! 肩の力が抜けてる感じというか。2000年くらいからやってるんだけど、主催してる人は実は普通のサラリーマンの人で、その人がやってるのは区画を決めることだけ。野菜もあれば雑貨もあるし、ペレットストーブのお店なんかもあるの。1月だけはお休みだったかな? でも、毎月1回やってて、今では出店したくてもできなかったりするくらい人気になってる。定期的にやってるから地元の人も「今回行けなくても来月は行こう」って感じで覚えていてふらっと遊びに行ける。

西鍋 気合いを入れずに気軽に行ける感じがいいですね。

五味 そう。でもね、一方で「気合いを入れていくイベント」っていうのも大事だと思ってるの。私が衝撃を受けたのはポール・ラッシュ祭〜八ヶ岳カンティフェア〜。あれも気合いを入れていくイベントなのよ。花火大会なんかはみんな浴衣を着たり、そのときのためのおしゃれをして行くでしょ? カンティフェアもそうで、「年に1回このハットをかぶっていく」とかカンティなおしゃれをして来る人がたくさんいる。それが素敵だなって思ったの。それこそがお祭りじゃない?

西鍋 確かに!

五味 イベントってよく「お客さんが主役」って言うけど、主役感ってそういうことだと思うの。年に1回、「この日はこの服を着るぞ」「もうすぐお祭りだから干しておこう」とか、気合いを入れて来てくれる。それが主役感なんだよね、たぶん。だから、ROCKの日のイベントなんかも、もっとお客さんの主役感を盛り上げることができると思う。それとお得感。振る舞いとかそういうことももちろんそうなんだけど、たとえば私が関わってるエジソンの会ってところのイベントだと「カニを大量に仕入れてみんなで食べるぞ!」なんていうのもあるの(笑)。

西鍋 カニですか? 八ヶ岳で?(笑)

五味 そう。全然この場所とは関係ないの(笑)。でも、カニっていいじゃない? お祭り感というか特別感があって。それをみんなでワーッと食べようっていう。

西鍋 「八ヶ岳ベーカーズ」はつくり手さんを主役にっていうコンセプトで、そこの部分はずっと大事にしていきたいと思ってるんですが、そういうお客さんの主役感を盛り上げることはいろいろできそうですよね。何か考えていきたいですね。

五味 イベントってやることで、地域にそういう文化があるってことを可視化する役割もあるんだよね。「八ヶ岳ベーカーズ」が始まって、ちょうど別のところでもパンのイベントや特集があったりすることで、「八ヶ岳ってパン屋さんがいっぱいあるんだ」「パンの文化があるんだ」っていうのをみんなが意識できるようになる。

西鍋 地域の魅力の発信にもなるってことですよね。なるほど〜。

五味 何かつらつら話しちゃったけど、こんなのでヒントになったのかしら?(笑)

西鍋 すごくなりました! というか、今回はすごく勇気をもらいました。

五味 本当?(笑) というか、いつでもいろいろ相談してね。「ごはん行きましょうよ」とか。

西鍋 ありがとうございます!

前の投稿
「人生で一番練習しても結果が残せなかっ…
戻る

ROCK MAGAZINE ROCK MAGAZINE