ROCKの復活と関わってくれているすべての人に感謝を伝える日である「ROCK Re:birthday」が今年もいよいよ迫ってきました。
2回目となる今年は、6月8日、9日の2日間の開催。日程だけでなく、ライブやイベントのボリュームや会場も去年以上に拡大しての開催となります。当日に向けて、ROCKでも連日準備が進行中です。
昨年の初開催から1年、ROCKはどう変わり、「Re:birthday」で何を伝えようとしているのか、イベントを仕掛ける三上浩太に聞きました。
今の限界ギリギリをお見せします!
——今年もいよいよROCK(69)の日、「ROCK Re:birthday」が近づいてきましたね。今年はテーマに「69LIVE!」を掲げています。
やっぱり「69」という数字にはこだわっていきたいと思っていたんです。だから去年も「6時9分に690人で乾杯」なんて企画を立ち上げたわけです。本当にあんなに集まってもらえると思わなかったんですけど……(笑)。その上で、「じゃあ2回目」となったときにどうやって進化を感じてもらおうといろいろ話し合って、「もう69個ライブとか体験用意しちゃおうか!」って。最終的にアーティストさんだけで40以上、ブルワリー見学とかセミナーを合わせて2日間で69個のコンテンツを用意しました。
——コンテンツだけでそれだけあるということで、会場も去年以上に広がっていますよね。
そうですね。メインのステージは去年同様ROCKの店内につくりますが、音楽でいえば今年はROCKのすぐ近くにある東屋がDJブースになります。お店の外はDJで楽しんでもらおうと。萌木の村の広場ではナチュラルガーデンフェアも開催していて、そのステージも設置されます。ROCKの店舗前はワークショップなんかを。あと、ROCKの店舗地下にあるブルワリーの施設では見学ツアーなんかもやりますが、タンクから直接ビールを注いで飲んでもらえるようにしようと思ってます。外につながっているところなんかには椅子とか置いて、そこでタンクから直で注いだビールを楽しんでもらおう、と。
——わ、楽しそうですね、それ。
呑兵衛エリアですね(笑)。お酒でいうとホテル ハット・ウォールデンのなかにあるバー・パーチはウイスキーのセミナーをやったり、夜はジャズライブをやったりします。
——ビールは定番に加えて2種類のコラボビールの登場も発表されてますが、料理の方も準備は進んでいるんですか?
料理も去年よりバージョンアップしてますよ。何でもできるようにフライヤーとか調理器具をいろいろ借りたんで。本気で挑む体制はできてます。その上で今メニューを練ってるところです。気合い入ってるので、ぜひ食べていってほしいですね。もちろんイベントなのでまるまる全部赤字ってするわけにはいかないんですけど、やっぱりRe:birthdayってROCKが日ごろの感謝を伝える日ですから。去年同様入場料は無料ですし、予算的にも今の人員的にも限界ギリギリってところまでやってこうって感じですね。
——限界に挑戦する2日間でもあるわけですね(笑)。実際、フードメニューなんか見てても料理長の菊さんが食べさせたいものを出してるって感じでしたもん。
そう(笑)。できるだけ気前良くいろんなものを提供したいんですよね。そういうのを忘れたら楽しくならない。
「グループ」から「チーム」へ
——実際去年は大盛況だし、来ている人だけじゃなくスタッフもみんな楽しそうでしたよね。
楽しかったですね。僕自身もすごくいい体験になりました。自分たちが仕掛けたイベントなんですけど、逆に自分たちが勉強させてもらったなって思います。ROCKっていうお店が何なのか、どうなっていくべきなのかっていうのを、言葉でなく体験として理解できた気がします。「Re:birthday」での経験はもちろんなんですけど、この1年でROCKって本当にいろんなことが変わってきたのを感じるし、成功も失敗も含めていろんなことを経験させてもらいました。今回「Re:birthday」の準備をしているなかでも、アーティストさんやワークショップで協力していただく方に「ROCKだったら参加しますよ!」って言ってもらえたり。アーティストさんってレストランとしての日常の業務のなかではあまり接点がない。だけど、そういう人たちもこのお店を面白いと思ってくれていたり、期待をしてくださっているんだなって実感してます。
——ROCKという場所に対する期待感が高くなっている感じはしますよね。
それって経営的には直接数字に表れるものじゃないと思うんです。特に短期的には。だけど、常に何かに挑んでいこうとしてきたこの1年は、確実にいろんな人の期待につながってくれているんだ、と感じてます。一人歩きしてROCKの株を上げてくれているというか。ウェブサイトの刷新とか、新しいメニュー冊子づくりみたいなメディアの立ち上げもここ1年ちょっとのことですけど、新しい層の開拓につながっているんですよね。いろんな話を持ちかけてもらえているし、求人なんかでもそうなんです。
——ニュースでは今どこも人手不足というのが話題ですよね。
はい。でも、今うちは通常の求人でも人に来てもらえるし、新入社員募集でもそう。今年4人新入社員が入ったんですけど、みんなサイトなんかを見て「楽しそうだ」って思ってそれを志望動機として来てくれたんです。動き続けることって、こんなに早く結果につながるんだって驚きました。そうやって集まってくれた人って「ただ働くために」ってだけじゃなくて、「地域を盛り上げていかなきゃいけない」ってモチベーションを持ってくれている。それは以前からいたスタッフも同じなんです。今までってまだROCKは「グループ」って感じだったんですよね。「とりあえず仕事があって賃金をもらえるから集まっている」というような。だけど、だんだんそれ以上の目的を持って集まるようになっている。お店はもちろん、清里をよくしていきたいって部分で集まって、「グループ」でなく「チーム」になってきたなって感じてます。僕自身もまだまだ経験不足だし、若い子たちとなると当然さらにそうではあるんですけど、この1年で光は見えてきた。いろんな個性を持ったスタッフがいるし、適性もわかるから、チーム編成次第でもっとクリエイティブなことに挑戦できると思ってます。
——ROCKは今本当にいろんな人が集まっていて、それでひとつになっている感じがします。
そのために僕自身ももっと挑戦していかないといけないし、これからはROCKというお店の中だけでなく、もっと広い視野で会社や地域に関わっていかないといけない。そうやって高い壁に挑戦して、新しい人たちが後ろから登ってこれる場所を確保してあげないといけないなと思います。創業者の社長たちに新しい形を見せて安心させてあげたいというのもありますしね。
ROCKへの期待に触れることもできる日
——「Re:birthday」はそういうROCKのビジョンみたいなものにスタッフ自身が触れることができる機会でもありますよね。
ですね。だから、今年は全体としては僕が見てますが、少しずついろんなところをスタッフに担当してもらってます。そこには新しく加わった人もいます。「Re:birthday」って本当に特別じゃないですか。普段の営業でもROCKはお客さんと距離が近いっていわれますけど、この日はそれ以上にものすごく近い。ファンだって言ってくださる人たちに触れることで、外からROCKがどんなふうに思われているか、期待されているかというのを直接感じることができる。スタッフにとってはそこがすごくいいところだと思います。実は今年のゴールデンウィークもそういうことを感じられる機会があったんです。今年は来てくださったお客さんにアンケートをお願いして、すごくたくさんの声をいただきました。連休ってすごくたくさんの方が来てくださるし、それだけ混雑もするんですけど、多くの方が「よかった」という感想をくださったんです。僕らって普段クレームは可視化できているんです。伝えてもらっているわけですから。でも、こうやって良い意見が可視化されて、数としてハッキリ見えたのは初めてだったので。
——クレームはハッキリわかるけど、「よかった」「楽しかった」ってなかなかお店には伝わらないですよね。
クレームって1件来ただけでスタッフみんなズーンと暗くなるんです。もちろんすごく大事な声なんですけど、それだけだと自分たちのやっていることに意味があるんだって思えなくなる。今回のアンケートで本当にたくさんの人たちが自分たちのやっていることを肯定してくれたというのが見えたことは、スタッフのモチベーションになりました。「Re:birthday」でもそういう経験をしてほしいなって思います。
ROCKは“パブリックな場所”でありたい
——「Re:birthday」はお客さんにとってもスタッフにとっても、ROCKというお店がどういう場所か一番わかる日かもしれないですね。
確かに。1年を通して見ればROCKのお客さんには観光客の方が多い。だけど、ROCKの役割ってそうやって立ち寄る飲食店というだけじゃないんですよね。人と人とをつなぐ、もっとパブリックな場所にしたい。「Re:birthday」はそういうイベントで、そこに集まったお客さん同士が、さらにはスタッフが、出会って化学反応を生むような場所になってほしい。そういう受け皿としてROCKがあるというところまで持っていければ、このお店が存在する意味が生まれると思うんです。もちろんおいしい料理を提供するとかそんなことは当たり前で、それ以上にここでいろんな人が何かを持ち帰っていってくれるといいなと。
——去年の「Re:birthday」はそういうものを感じられる1日でした。
さっきも言いましたが、あれがROCK、萌木の村、もっといえば清里のめざす姿なんじゃないかなって思っています。あのとき、会場にはポジティブな感じしかなかったじゃないですか。多幸感というか、愛があふれていた。みんなが許し合えている感じというか。ああいうものこそが社会とか、日本を救っていくと思うんですよね。その雰囲気が増えれば増えるほど地域は良くなっていくと思うんです。
——今年はもちろん、これからもっと広がっていくといいですよね。
そうですね。「Re:birthday」は(10月に清泉寮で開催されている)カンティフェアみたいなところまで成長するといいなと思ってます。もちろん続けていきたいし、もっと萌木の村としての一体感も見せていきたい。続けていくなかで「この日はRe:birthdayだから萌木の村に行こうよ」って言われるようになればいいなって。そうなったときには、ROCKに新しい役割も生まれると思います。
——開催まであとわずか。頑張りましょう!