サシだけが牛肉じゃない!
ジューシーなお肉の旨みがギュッと詰まった甲州麦芽ビーフってどんなお肉?

甲州麦芽ビーフはウイスキーやビールをつくるときに出る副産物・麦芽糖化粕を飼料の一部に使って育てられた牛肉。ROCKでは3年ほど前からこの甲州麦芽ビーフを一頭買いしており、カレーをはじめ、いろんなメニューに使っています。

今年の夏のROCKは甲州麦芽ビーフ祭り!甲州麦芽ビーフはステーキに相性がよく、肉の旨さが際立ちます。その他にも、甲州麦芽ビーフをたっぷり楽しめるメニューを用意しています。

ドンと450gの大ボリューム! リブロース1ポンドステーキはROCKの名物のひとつです。

「おいしい牛肉」というと現在はサシ(霜降り)の多い和牛をイメージする人も多いと思いますが、甲州麦芽ビーフはいわゆる赤身のお肉。サシの多いお肉ももちろんおいしいですが、脂が多い分たくさん食べたいときにはちょっと重いものです。

甲州麦芽ビーフはしっかりとした赤身に適度な脂身がある、お肉のおいしさを楽しむのにピッタリの肉質。だからこそ、1ポンドステーキのようにボリューミーなメニューにも適しているんです。ガッツリ、たっぷりお肉を食べたいなら甲州麦芽ビーフのような赤身肉というわけです。

実は一頭買いをはじめたきっかけは、ほとんど勢い(!)でした。ROCKの菊原和徳料理長も「当初はメニュー的にステーキやビーフカレーくらいしか牛肉の使いどころがなくて、いろんな部位を使い切るのが難しかった」と振り返っています。一頭買いをきっかけにいろんな部位のお肉を使う方法やメニューを模索していったんだそうです。

いわば甲州麦芽ビーフ祭りはその集大成! 定番のステーキはもちろん、煮込み料理にピッタリの部位・ブリスケなどを使ったグーラッシュなど、いろんなお肉をいろんな料理で楽しめちゃいます。

今回の甲州麦芽ビーフ祭りではヒレのステーキも登場! 1頭から20人前分ほどしかとれない貴重なお肉です。


菊原料理長もオススメのグーラッシュ。煮込みに適した部位に加え、ちょっと脂のある部位も加えているそうです。

肉牛と乳牛のいいとこ取り

さて、そんな甲州麦芽ビーフ。実際にどんなふうに育てているんでしょうか? 今回は甲州麦芽ビーフを育てている牛農家さんのところにお邪魔してきました。

うかがったのは北杜市白州で牛を育てている富士飼料株式会社さんの牛舎。会社の名前にも入っているとおり、元々は飼料を扱う専門の会社さんだったのですが、20年ほど前から引退した牛農家さんの施設を引き継ぎ、牛も育てています。

富士飼料さんの牛舎。涼しくてとても気持ちいい場所にあります。

牛舎へ行くとたくさんの牛が! ここでは和牛と甲州麦芽ビーフを育てています。富士飼料の山田純士社長によると「牛は好奇心も警戒心も強い」とのこと。そのためか、牛舎へ行くと牛たちがどんどん近寄ってきました。

「見慣れないのが来た」という感じで牛たちがどんどん近寄ってきました。かわいい。

赤身のおいしさが魅力の甲州麦芽ビーフと和牛の大きな違いは品種。甲州麦芽ビーフは和牛などの肉牛と、ホルスタインなどの乳牛をかけあわせた、通称「F1」と呼ばれる交雑種なんです。赤身がしっかりしていて、ジューシーで柔らかく、お肉としておいしいという特徴は、交雑種ならではのものなんですね。

ホルスタインの血が入っているため、白地の模様が入っていたりするのが特徴的。顔つきも和牛とはちょっと違う印象です。

しかも、和牛に比べて交雑種は価格もリーズナブル。「サシの多いお肉こそ高級品」というトレンドもあって、サシが少ない交雑種は値段が安いんです。「手頃な価格でお肉のおいしさをしっかり味わえる牛を」というのが、甲州麦芽ビーフなんですね。

身体づくりに必要な栄養が詰まった麦芽糖化粕

肉牛たちはおおよそ26か月くらいで出荷されていきます。ほどよく大きくなり、かつ適度に脂も乗るのがこの頃なんだそうです。

甲州麦芽ビーフの特徴付ける飼料・麦芽糖化粕を与えるのは、牛たちの身体をつくる育成期、だいたい生後12か月から13か月ごろなのだそうです。

案内をしてくれた富士飼料の代表取締役社長・山田純士さん。

麦芽糖化粕は牛本来のエサである青草に近いといわれています。ビールやウイスキーをつくるとき、重要なのは糖質です。糖質を酵母が分解することでアルコールがつくられるのです。麦の場合は、麦芽に含まれるデンプンを糖に変え、それをアルコールに発酵させていくわけです。

麦芽糖化粕というのは、お酒をつくるためにデンプンを取りだしたあとの麦芽。成分のほとんどは繊維質やタンパク質です。これがまさに育成期の身体づくりに必要な栄養なんだそうです。実に1日5〜6kgも食べるんですよ。身体ができあがったあとは、とうもろこしなどを食べさせ、脂が乗るようにしていきます。

こちらが麦芽糖化粕。ちょっと独特の香りがします。

地元で大事に育てられた甲州麦芽ビーフ

この日は山田さんの案内で、子牛も育てている農家さんにもお邪魔しました。生まれて間もない、生後半月ほどの牛にも会えましたが、手を伸ばすと指をチュウチュウと吸ってきたり、とにかくかわいいんです。

生まれて半月ほどの子牛。指を差し出すと吸ってきます。

その気持ちは農家さんも同じ。「かわいいでしょう?」と牛たちを紹介してくれました。「一頭くらいこのまま大きくならなければいいのにと思う。小さいままで飼っていられたらねぇ」なんて話していたのが印象的でした。

1頭の牛と過ごす時間は長くても2年ちょっと。その短い時間を、牛たちの健康を見て、牛舎を清潔にし、とてもかわいがって育てているのが伝わってきました。

大事に大事に育てられた甲州麦芽ビーフ、お店でも大事に料理しています。地元山梨の土地と人に育てられた味を、この夏ROCKでぜひ味わってください。

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