八ヶ岳のパン屋・焼き菓子屋が萌木の村に集結する『八ヶ岳ベーカーズ』。今年の秋は2020年10月11日(日)に行われます。イベント開催に向けて、出店するベーカーズおひとりおひとりを紹介する特集記事をお届けします。
第8回目の対談は、『kiitos』の福富あゆ子さんです。kiitosさんは萌木の村の「自然木工房ONO」さんの店舗前で土日のみ(冬季は日曜日のみ)販売を行ってます。季節の野菜や果物で酵母を作っているのが福富さんの特徴です!その酵母と、すべて手作りのフィリングのひみつについて伺ってきました!
―はじめまして。インタビュー前に、たくさんの酵母について紹介いただきありがとうございます!いつから萌木の村で販売しているんですか?
福富 パンを売り始めて3年なんだけど、ただただ小麦が好きで趣味でやってるからパンなんて勉強したことなかったの。昔はホシノ酵母とか白神酵母とか使ってやってたんだけど、面白くなんだよね。絶対失敗しないし、それでここの地のものでできたらなと思って。友達に「あゆ(福富さん)のパン美味しいね」って言われて週に一回届けるようになって。そして小野さん(自然木工房ONO)にお願いして2018年のGWから店頭販売させてもらうようになったの。
―店頭販売は最近始めたばかりなんですね。
福富 そう。私は東京で40年間ずっと保育園の調理士をしてたの。56歳でこっちに来たのかな。だから本当に小麦が好きでパン作りを始めたから、ベーカーズさに出店した時周りが名だたる人ばかりだったからすごく緊張して夜眠れなかった(笑)
―そうなんですね、確かにベテランさんも多いですからね。東京ではパンはやってなかったんですか?本格的に始めたのはこっちで?
福富 東京ではよくホームメイド協会とか、ちょっと素敵なセレブな奥さんが教えてくれるコースとかに通ってた。10年前にこの家を買って7年前に移住したの。だからパン作りを本格的に始めたのはこっちで。天然酵母のパンに関しては地粉を使ってるんだけど、知り合いが長坂で南部小麦を作ってるからそれを買いに行ってる。それが手に入らない時は道の駅で地粉を買ってる。
―パンの種類は大体何種類あるんですか?
福富 だいたい50種類くらいかな。
―そんなに!?毎回違う種類を持っていくんですか?
福富 私、飽きっぽいから大体3週に一回くらいのペースで新商品を持っていくかな。レパートリーはそんなにないんだけど、中のフィリングは全部自分で作ってる。例えば赤いルバーブが手に入ったらルバーブのパン。明野のブルーベリーのパンは、果汁を入れて中にブルーベリーのコンポート入れたりしてる。明野金時がまだ美味しくないから(取材日:9月26日)甘納豆入れてるんだけど、明野金時が取れたらそれに変えようと思ってる。あとは地のものじゃないんだけどアールグレーパン生地の中にオレンジピールを入れたり。
―酵母も変えてるんですか?
福富 kiitos酵母(長芋、人参、リンゴ、明野の玄米)は定番で変えないんだけど、旬でモモ、サクランボとか使ってる。
―仕込み生地は何種類なんですか?
福富 えーと、仕込み生地は15~16種類あるね。
―そんなに?!
福富 本当に小麦粉が好きなのよね。これがごぼう酵母のパンなんだけど、全粒粉とごぼうとクルミが入ってる。これね、肉じゃがとかサバの味噌煮とか似合うのよ。うちのパンは油脂を使ってないから和のおかずに合うんだよね。酵母は色んなのやった方が楽しいよ。ここは自然のものがあるから。ごぼうなんてできないと思ってたけど意外にできるんだよね。
―ごぼう酵母のパンは初めて出会いました!噛んでいると、ほんのりごぼうの土っぽい良い香りが鼻から抜けます!酵母はもちろんですが、全て手作りでフィリングを作っているってところもkiitosさんの魅力でですよね。
福富 そうね。特にあんこには自信があるの。あんこは北海道産で、小豆は昔から煮るのが好きで結構こだわってたつもりなんだけど、樹木希林さんの『あん』ていう映画を見て、ライ病(ハンセン病)の人があんこを作って美味しいどら焼きを作るって話あってね。その中で樹木希林さんがあんこを煮るシーンがあったの。それを見たら自分が作ってたあんこはダメだっと思って、それからあんこに対してすごい思い入れができちゃって。目分量なんだけど炊ける音とかで分かるの。そんなに甘くないんだけど、お客さんに美味しいわっていう反応もらえるから嬉しいし、なにより豆を煮るのって楽しいのよね。
―福富さんのあんこ作りにそんなに影響を与えた映画、今度見てみます!萌木の村で売り始める前は、お友達にだけ販売していたのでしょうか?
福富 こっちに来て、4年くらい保育園給食を嘱託でやってたの。その時にパン焼くんだって言ったら、ちょっと焼いてきてよって言われてそれで買ってくれるようになったんだよね。それがパンを作ってお金を貰うようになった始まりかな。今は萌木の村での販売と、近隣の人が朝焼きたてを買いに来てくれる方が結構いらっしゃっるの。看板は出してないから分かってる人が買いに来てくれるの。そんな感じで売ってるのよ。欲が無いのよね。来た人と楽しくペラペラしゃべって「はい、おまけー」とか(笑)儲けじゃなくて出会いを大切にね。
―萌木の村で販売してて一番嬉しい時ってどんな時ですか?
福富 そうね、例えば萌木でパン売らせてもらってる時にあんぱん買って行ってくれるお客さんが、おばあちゃんなんだけどお孫さんに食べさせてあげたの。お客さんの反応気になっちゃって目で追ってたんだけど少し経ってっからおばあちゃんが戻ってきて「あのあんこ美味しいわ」って言ってくれて。他の種類のあんぱんも買ってってくれたの。そういうのがすごく嬉しいよね。お店で販売してると来てくれるお客さんが大体決まってるかもしれないけど、萌木の村だと色んなお客さんが来てくれるからそういうのが楽しいかな。
―ベーカーズに対しての印象はありますか?
福富 一回目の時は隣が有名店で長蛇の列だったの。後輩が手伝いに来てくれて「kiitos大丈夫?」って聞かれちゃって(笑)でもそこで並んでる人がここのパン屋さんも可愛らしいじゃないって言ってくれてきてくれたり。でもあの単価でこれだけ売れれば十分かなって私の中では達成感持って帰れるからすごく楽しい。色んなお客さん来て、これ何?とか萌木の村で売ってるのとはまた違うのを作って持っていくから、短い時間の中でもお客さんとの触れ合いの時間があるからすごい楽しいですよ。
―今日はじめてお会いしましたが、福富さんとお話ししているだけでも元気になれます!きっとそんなお人柄に魅せられたリピーターさんも多いのではないでしょうか?イベント当日もよろしくお願いします!
【八ヶ岳ベーカーズ2020autumn】
日時:2020年10月11日(日) am10:00~pm15:00 ※売切れ次第終了
場所:萌木の村ひろば
入場料:無料
問い合わせ:0551-48-2521 (萌木の村ROCK)